31.Causticum コーステイカム (水酸化カリウム)
CAUSTICUM(コ-スティカム) <水本晶子 訳>

あなたが世の中の不正について 自分がいかに正直であるか

言葉がつっかえるほどの勢いで 論じたがっているの わかっているわ


反抗的で 怒りに満ちた青年期のころから

“ずるいのはいやだ!”っていうのが あなたの生きるテーマだもの


鼻の先にイボができただけで

あれこれ不安が押し寄せてくる

ストーブの点検は お気が済むまでなさるといいわ


歳を重ねると 神経はゆっくりと麻痺が進み

真夜中に 両足が居ても立ってもいられないほど落ち着かなくなってくる


BLTサンドに塩を足して ランチしているあなたを想像しているの

ベーコン・レタス・トマトのお味はいかが

こらえきれずに ついついお漏らし

デザートをぱくついているどころではない様子が浮かんでくるの


あなたの灰色の姿が 辺りにとけこんで いい感じだから

やっぱり雨の日のほうが好みに合うようね


咳がなかなか止まらないのは

何かが刺さっているように思えるのだけど


あなたって不運な人たちに ひどく同情して

仲間になって “一緒に社会に向かっていこう”とする


ああ コ-スティカム 願っているわ

心の奥まで弱りきってしまわないようにね

そんなに頑固にならないで欲しいの

そして イボの無いきれいな爪になって

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コーステイカム(水酸化カリウム)

水酸化カリウムが医療で用いられるのはホメオパシーだけである。

ホメオパシー特有のこの化合物はハーネマン自らのピルービングにより、Chronic Disease(1821~34)に発表されたレメディである。

舌の乗せると焼けつくような感じがする。

重いやけどに対するホメオパシーの救急レメディで、その他にも、焼けるような痛みに用いられる。

局所麻酔、失禁、咽頭炎、咳など、焼けつくような痛みのある症状であればどんなときにも用いられる。


歴史的背景

ハーネマンンは同量の消石灰(水酸化カルシウム)と重硫酸カリウムからこのレメディを作った。そのどちらもとりわけ焼けつく感じのする化合物を使って作ったレメディである。当時医薬品の原料としては、全く新しい表情をもったものだった。



過敏、不正なことに我慢できない、漸進的な麻痺、ひりひりと焼けるような痛み、寒くて乾燥した風の強い天候で悪化する


消化器系の不調   高齢者の失禁・尿閉・膀胱炎・圧迫性尿失禁

振せん・麻痺    筋力の低下・瞼の下垂・顔面神経痛
          顔面麻痺(ベル麻痺)・けいれん

咽頭炎       

Materia Poeticaインデックス
コーステイカムのプロフィール
このレメディは、深刻で内省的な傾向の人に最も効果がある。

高齢者にも関係の深いレメディで、ハーネマンが開発した素晴らしいPolycrest(とてもひろく深く作用するレメディ)で、徐々に進行する慢性病によくつかわれる。

カリウム族には衰弱や疲労という共通のテーマがあるが、コーステイカムは、精神、感情、肉体のあらゆるレベルでの麻痺が徐々に起こってくるという、際立った特徴がある。

ショックや恐怖や悲しみなどから、病理が始まり、じわじわと進行していく。

この世の責任をずっしりと肩に背負い、疲れ果て、でも眠れない。おもみに押しつぶされて消耗していく。

こうした年月の積み重ねは、どの高齢者にも共通なことだが、実際高齢者によく用いられる。

また一方では、別のテーマもある。

熱狂、反権威、反抗である。

これが高じて弱者の味方 反権力的なアナーキスト、熱心な政治運動化にもなっていく。

そうした熱狂は、テロや殺人までにも至ったりすることさえある。

人々の自由のために、無慈悲な独裁者の圧政で人々が苦しまないように、という大義名分のために。