Aconitum Napellus アコナイト(とりかぶと)

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アコナイト・とりかぶと

 

ああ、死よ、お願いよ

もう時間がないのよ、そんなこと百も承知だわ

でも、お願いだから私を連れていかないで、

恐怖で心臓は早鐘をうつし、息もつけないわ

眼はカッと見開くし、

風にあざ笑われて、もう風前のともしび、

目がずきずきするして、最悪の気分よ

こんなに喘ぐのも、きっとあの柱時計のせいだわ

真夜中1時に、きっとまた叫びだすのよ

お願いだから悪夢から目覚めさせて

ああ、アコナイト、頼りになるにはあなただけよ

死よ! 私から離れてちょうだい

お願いだから、どうか自由にさせて



アコナイト

ショックまたは寒風にさらされることが引き金になって現れる症状
パニック発作及び死への恐怖感
突発性の急性感染症

歴史的背景

打撲と関節痛の治療の外用薬として、皮膚にある傷口を避けて使用するが、有毒のため内服はしない。
フグ毒に次ぐ猛毒で、解毒剤はない。

富士山5合目に立派なアコナイトが咲いている。
富士→ぶし(アイヌ語)→ブス→トリカブトで顔面がひん曲がるところから命名

Materia Poeticaインデックス


トリカブト
◆トリカブト◆

トリカブトは、キンポウゲ科の多年草で、山林に生え、名前の通り、兜のような形をした、青や紫の美しい花を咲かせます。致死性の猛毒を持つことで知られ、現在も他の野草と間違えて食べた人が、ときおり中毒を起こして死ぬことがあるようです。少し前に、保険金殺人の手段として使われたことがあったので、覚えている方も多いのではないでしょうか。
トリカブトは、大まかに二つの種類へ分かれます。山に自生するヤマトリカブトと、花の美しさから園芸用に使われるハナトリカブトです。
このうち、中毒を起こすのはほとんどがヤマトリカブトの方です。無害な野草のヨモギや、やはり無毒で同じキンポウゲ科のニリンソウによく似ているため、間違えて食べる人が後を絶たないのだそうです。
ハナトリカブトにも、やはり毒はありますが、ヤマトリカブトに較べて毒性は低く、また特に毒の含まれている根は切り取って売られているので、食べて中毒を起こしたという話はついぞ聞きません。
トリカブトの花言葉は「人間嫌い」「騎士道」「騎士の武者修行」「栄光」(イギリス)、「あなたは私に死を与えた」「復讐」(フランス)です。イギリスのそれは、恐らく「モンクス・フード(修道士のフード)」「ヘルメット・フラワー(兜花)」と呼ばれるその花の形からの連想で、フランスの方は「狼をも殺す」と呼ばれたその毒のイメージから来るものでありましょう。



◆トリカブトの毒◆

トリカブトの毒性は根の方に多く含まれています。かじるとビリッとした痺れが舌の上に走り、その感覚が何時間も残り続けます。間違って食べたり服用したりすると、神経や心臓、脊髄が毒に犯され、延髄の呼吸中枢に作用し、呼吸困難に陥ります。酷い時にはそのまま死に至ります。
どれほど食べたら死んでしまうのか、という点については、それぞれ毒の量が違うので一概には言えませんが、強い場合には1本の根で50人もの人を殺せると言いますから、端をちょっとかじっただけでも危ない、と言うことができるでしょう。
この毒の正体は「アコニチン」と呼ばれるアルカロイドです。半数致死量が体重1キログラムあたり0.3グラムという、きわめつけの猛毒で、麻酔作用、鎮痛作用、不整脈作用などの効能を持つので、不整脈をわざと起こしたい時などに使われることがあるよううです。
「アコニチン」の名前は、トリカブトを表す古代ギリシャ語「アコニトン」に由来し、さらにさかのぼれば、地中海の風光明媚な島・クレタ島の丘の名「アコナイの丘」に行き着くことができます。かつてこの場所では、実に多くのトリカブトが自生していたと言う話です。
この「アコニチン」に解毒剤は存在しません。一度致死量を口にしてしまえば、助かる見込みはほぼゼロだと言われています。
ただ、猛毒はたいてい「薬」としての役割も持っています。このアコニチンも例外ではなく、鎮痛・強壮・昂奮・新陳代謝亢進などの効果を持つ「薬」として使用されており、漢方薬の八味地黄丸、真武湯、四逆湯、天雄散などに、このトリカブトの毒がごく少量、配合されていると言います。



◆トリカブトの歴史◆

この草がきわめつけの毒性を持つということは、かなり昔から知られていました。
古代ギリシャの博物学者テオフラストスは、この毒草について、著書「植物誌」の中で、「根は形と色がクルマエビのようで、その中に人命を奪う力がある。数ヶ月、半年、一年、あるいはそれ以上でも、定められた気管内に生命を奪うよう調整できる」と記しています。
他にも、古代ローマの医師ディオスコリデスは、著書「薬物誌」の中で「狼を捕まえるのに、生肉にトリカブトを包んだものを用意した」という事例を紹介しています。
ギリシャ神話によれば、この草は地獄の門を守る三つ首の魔犬ケルベロスのよだれから生まれたとされています。この犬は、かつて英雄ヘラクレスによって、地獄からいったん太陽の下へ引き出され、苦悶のあまりよだれを垂らすのですが、そのよだれの跡からトリカブトが生えてきた、と言われています。
また別の話では、魔女メディアが同棲相手だったアイゲウスの息子テーセウスをこの草で毒殺しようとして、未遂に終わったというエピソードがあります。
古代ローマでは、しばしばトリカブトは「継母(ままはは)の毒」と呼ばれました。これは夫の連れ子を殺すのに、この毒がしばしば使用されたことに由来するものです。あまりに多くの人々が毒殺されたので、ローマ皇帝はしばしばトリカブトの栽培禁止令などを発することもあったようです。
中世ヨーロッパでは、トリカブトのことを「狼を殺すほどの毒性を持つ」ということから「狼殺し」、すなわち「ウルフズベインWolfsbane」と名付けられました。
他にも、さきに少し触れたように、花の形が修道士のかぶるフードに似ていることから、「モンクス・フードMonk's hood(修道士のフード)」、同じく花が兜に似ていることから「ヘルメット・フラワーHelmet flower(兜花)」と呼ばれることもあるようです。和語名の「トリカブト」も、その花の形から連想された名前です。
作家チェーホフが集めた詩の中には、流刑囚がトリカブトのことを歌ったものがあります。

 「誇り高げに生いし草 その葉は青く 美しく
 医学に知らるるトリカブト この毒草の地下の根は
 神の手ずから植えしもの 人を惑わすこと多く
 墓場にまでも導きて 黄泉の臥床に送り込む」
(チェーホフ『シベリアの旅 サハリン島』 神西清訳)

サハリン(樺太)に送り込まれた重罪人の中には、絶望のあまりトリカブトをあおって死ぬ者も少なくなかったそうです。



◆日本のトリカブト◆

トリカブトは和名を「附子(ぶす・ぶし)」「烏頭(うず)」「天雄(てんゆう)」と言い、古くから矢に塗る毒のひとつとして使用されていたことが分かっています。
「古事記」や「日本書紀」には、神武天皇の兄・五瀬命(イツセノミコト)や日本武尊(ヤマトタケルノミコト)がこの毒にやられたことが記されていますし、仲哀天皇(日本武尊の息子、神功皇后の夫)や東北の豪族・安倍頼時なども、トリカブト矢の餌食になっています。
平安時代の「吾妻鏡(あづまかがみ)」には、伊貝八郎入道という人物が、何者かにトリカブトの毒を塗られた矢を射掛けられ、急死したという話が残っています。
「一休とんち話」には、和尚さんが貰った砂糖を舐められないために、砂糖の入った容れ物に「舐めると死ぬ毒」という意味で「附子(ぶす)」というラベルを貼ったという話が出てきます。ただ、その工夫も空しく、「大事な壺を割ってしまったお詫びに死のうとした」一休たちに、その砂糖は全部舐められてしまうのですが。
ちなみに、「附子」を使用すると、呼吸困難などの他に、顔面がこわばるなどの作用が出る場合があります。そのため、後世に、こわばったようなおかしな顔の持ち主を「附子(ぶす)」と呼ぶようになり、やがて不細工な女性のことを「ブス」と表現するようになった……という話です。なお、この言葉は、本来男女双方のことを指す言葉であったはずですが、近世から女性にのみ使用されるようになります。理由は不明です。
アイヌ民族もトリカブトを使う習慣を持っており、狩猟の際には、矢を鹿の足骨で作り、鏃(やじり)にトリカブトを煮詰めて作った毒を塗り込んだと記録には残っています。ちなみに、現在の静岡県東部はかつて「駿河」と呼ばれていましたが、これはアイヌ語でトリカブトを表す「スルク」が語源であるとも言われています。かつて富士山麓には、厖大な量のトリカブトが自生していたそうです。

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幻想万象資料館より
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アコナイト・とりかぶと