ホメオパシーはサイエンスでありアートである

 ホメオパシーは癒しの技術だから、ウイリアム・オスラーの語った「医学は科学で芸術だ」という定義がそのまま当てはまる。古代には科学的概念はなかったが、医師には病を癒すだけではなくて、患者の痛みを心の側から癒すことも求められていた。芸術とは、見るものと作るものが感情を共有する体験があり、そこには感動が引き起こされる。芸術に秘められた深い愛、優しさ、悲しみが人々の心を魅了するのだが、医療もまた、もてるべき技術を駆使するだけでなく、限りなく患者に寄り添うことで、癒す人と癒される人の間に垣根がなくなり、他人の心を動かすことが出来る。それは芸術そのものだ。医療もまた芸術というのは、そうした感情の共有から派生してくるダイナミズムが、芸術と言われるジャンルとそん色がないという点だ。ホメオパシーに従事するものは、自分の行う癒しの技が芸術だと知ってさえいれば、ホメオパシーという癒しがもたらす圧倒的な感動を諸所に味わうことができる。癒してやるという驕りからはるか離れたところに患者との圧倒的な触れ合いが生まれる。

現代で、ホメオパシーが多岐に複雑化した現代医学に疲弊した人々の一縷の救いにもなっているのは、古代の医術が持っていた芸術性に裏打ちされた姿勢が濃厚にみられるからなのだ。

病む人々にこれほどまでに緊密に寄り添える医術を、そして感動までをも引き起こす医術を、私はほかに知らない。